・有休使って佐渡へ
・3日で1000km走った
・どうせ有休なんか使い切れないよ、という先輩の言葉を鵜呑みにして三連休。世界遺産化して爺婆外人で飽和する前に行っておきたかった佐渡へ向かう。
・新潟朝8時発のフェリーに乗るべく、深夜3時には出発したい。残業かまして、用意すまして早めに寝ようと思ったら、同期の部屋でロケット打ち上げを見ることになり気づけば23時。3時間睡眠で深夜の高速300kmに挑む。
・2時に起きたとき、正直めちゃくちゃ行きたくなかった。身体も明らかに「寝足りないです」って言ってるし。バイクの高速ってマジでつまんない(しかも深夜はなおさら)し。フェリー予約しちゃったからもったいない、自分に負荷かけていくって言ったじゃん、と何とか奮い立たせて家を出る。
一人旅の醍醐味は最悪行かなくてもいいこと、みたいなツイートが昔あったけど、その誘惑を振り切ってやることに意味と意義がある、そういうことなんすね。
・今回も積載は北海道式。新しく大容量シートバッグを買ったんだけど、固定方法が信用できず不採用。
そしてタイヤも変わっております。ダンロップ、α14。寿命7000kmのハイグリップタイヤ履いた最初のツーリングが行程1000km、なんかこう……もっと……順序とか考えたりしませんでしたの?
・ひたすら高速を北上する。上里SAで朝飯休憩。
SAの飯にいい印象をあまり持っていない。フードコートかつ観光地の飯、つまり安くもなく量も多くないし、あんまり美味しくもないもの、と思っているので、先人たちがよく食べて褒めていることにかなり懐疑的だった。……その説が覆ることはなかったね。
・赤城ICを越えたあたりから肌寒さをおぼえ、カッパと極暖を着込む。ロングツーリング自体が久しぶりだったせいか、いつものULDを忘れ、極暖も下しか持ってきていなかった。去年ほぼ同じ時期に同じような場所を走っていたはずなのに、どうにもツーリング筋が衰えているみたいだ。
・夜が明けても雲のせいで寒さは変わらず、眠気もかなり来ていたので大和PAで仮眠。
PAなのでほんとにパーキングしかなく、仕方ないのでバイクにもたれて30分ほど眠る。バイクに乗り始めてから、屋外で寝ることへの抵抗が着実に減っている。常に屋外にいる、という意識が感覚をマヒさせているのだろうか。そして同時に、駐車場でカジュアルに寝ちゃう俺、ヤバくね?という謎イキリもそれを加速させている。
・仮眠後、通勤ラッシュに巻き込まれながら新潟港へ。日本海側の都市に来るたび、北に海がある違和感が毎度つきまとう。裏日本で育った人たちは、夕日が海に沈む情景に実感が湧かないのかもしれないし、逆にそっち側だけで共有されている感覚があるのかもしれない。なんか一句読めそうな良さがあるね。
・フェリー乗船。いの一番に乗れるバイクの特権を活かし、船内を探検する。
一通り見てまわった後、甲板に上がって出発を待つ。遠足らしい小学生の集団、家族連れや大学生らしき観光客も集まり、賑わい始めたところでゆっくりと船が動き出した。
・湾内を出る前から、ウミネコが船を追いかけてきている。
人間が投げるかっぱえびせんを目当てに着いてくるみたいだ。投げられたものだけでなく、人の手から直接つまんでいく姿を見る限り、デカい船に着いていけばメシにありつける、という事実が染み込んでいるのだろう。
・そのうち賑わいもおさまり、甲板には物好きな人間が残される。
船が作り出すこの航跡、好きなんス……
・とはいえそこまで筋金入りではなく、普通に疲れもあったので船内に戻り、飯食って2等席で眠る。
SAの教訓を活かさず、またご当地グルメっぽい岩のりラーメンを食べる。しかしこれはなかなか美味しかった。
・佐渡に上陸。昼飯を求めて、Zの斜め部分を突っ切る。
距離にして20kmもないZの斜め部分には、ひたすら田んぼが広がる。
佐渡に本店がある回転寿司に行ったけど、まあ普通。当然そこらの回転寿司チェーンと比べたら全然美味しいが、自分の中でトリトンと北海道が別格すぎて遠く及ばんな、という感じです。
・そのまま海岸線に出て、時計まわりに走る。まずは長手岬。
灯台までの道が飛び石みたいになってて冒険感ある。寿司のせいか知らんけど妙に腹が痛く、あまり長居せずに次へ。
・ちょっと走って、北沢浮遊選鉱場跡。佐渡は小さいので行きたいスポットが10kmおきくらいにあり、バイクだとヘルメット取って上着脱いでグローブ外して……が毎回発生する面倒さがある。
浮遊選鉱場としての規模は神子畑と同じくらいだろうか。なんかいいや、と思って金山に行かなかった(今書いてると後悔が凄い)ので知識も背景も知らず、印象にそこまで残っていない。金山行けし。
・バイクはこういう手間の部分と、時間が押して夜になった場合身動きとりづらい、という点で行動の制限がかかるのが痛い。両方とも最悪どうにかできるものではあるけど、その状況に自分を追い込む嫌さもある。ラフな格好で乗れるし、閉鎖空間で寝られる車もいいのかなぁ、とこういう時はいつも思う。車中泊できる2シーターオープンカーあったら教えてください。
・次。姫津大橋。
海が青すぎるよ。橋、まあまあの高さがあるんだけどそこからでも水底がはっきり見えるほど透明度も高い。泳ぎたすぎる。
はしごはあるので、泳げないことはなさそう。漁港の入り口だし、水深もかなりあるから微妙そうだけど。成人の儀式がここから飛び込んで勇気を示す、とかだったらアツいな。
・かなり良かったのがここ、大野亀。
でっかい岩山。てっぺんまで行けるみたいなので登ってみる。
鳥居を置きたくなる気持ちもわかる。デカすぎるものには神性感じがち。
ただ、登頂ルートはすごく辛い。スキーでも滑り降りるのを躊躇するほどの斜度に、ところどころステップがない箇所も。マジで滑り落ちそうになる瞬間があった。
・青息吐息で頂上。
水平線がここまで見渡せるってそうそうない。
鳥の視界ってこうなんだ、と何だか納得できた。この先がマジ斜面で、唐突に200mくらいの高さが見えたからだと思う。そんでやっぱ海が青すぎる。透き通ってるんだけど、南国の明るい青ではなく、日本海の深くて暗い、濃い青。
・堪能したので、キャンプ地へ。二つ亀の名物標識を見忘れたのは心残りだけど、またいつか。Zの上かつ東側をひた走り、いったん両津へ向かう。中央線が無い道が続く中、急に前からウサギが走ってきてめちゃくちゃビビった。固有種がいるらしいけど真っ黒だったので脱走兵なのかもしれない。しかし前から巨大質量が迫ってるのも関わらず突っ込んでくる、気合の入ったやつだった。
・薪を買って、ドンデン山へ。山上ロッジのそばが、今夜のお宿。
佐渡を一望できる最高の立地。地形が分かりすぎる。
朝夜ロッジの風呂が使えて、トイレも24時間。かなり最高のキャンプ場です。難点は道中。
道幅狭く、180℃ターン×斜面が何度も続くので覚悟して行きましょう。
・設営しようと荷下ろししてたら、システムKベルトが逝きました。
レブルの頃から使ってるから4年選手くらい?無茶な使い方もいっぱいしたので残当。しかし荷物が固定できなくなってしまうのはどうにもならず、翌日ゆうパックで先に帰ってもらうことにしました。
・気を取り直して、宴。
ロッジにビールの自販機まであって至れり尽くせり。日中は27℃あったのに、山上ということもあり夜は冷える。火は明るいし温かいし、ありがたすぎるな。
・火を熾す、って表現、良すぎる。識、織といい、ショクの形がそもそも好き。リズムよく書けるし。風野灯熾っていい名前すぎる。
・kindleで『スキゾ・エヴァンゲリオン』と『パラノ・エヴァンゲリオン』を読んでいた。庵野秀明の1996年当時の語りがまとめられているんだけど、この時代の人々へのオウムが与えた印象って思ったよりデカいんだな、というのを実感した。20代の自分からしたら完全に過去の話なんだけど、当時を生きる人からしたら世代共通の一大トピックで、社会現象であり、自分の周囲と地続きの現実だった、んだろう。普通に面白かったので、また別に書きます多分。
・540km!2時から走ってた割にはそんなに距離いってない感。