セカイ系について

今年の夏にkindleを買って、ちょうどそのころがUFOの日あたりだったのでTwitterのトレンドあった「イリヤの夏、UFOの空」を買って読んでみた。

 

まずシンプルに、kindleがいい。海辺にキャンプにいった夜、友人が寝静まってからテントの外で波の音を聞きながら焚火のそばで読んでいたのだが、周囲が真っ暗な中で読めるのがすごくいい。しかもスマホだと通知とかですぐに興味がそれてしまうけど、読書専用端末だからそれもないし、なにより光が目に優しい(気がする)。

 

肝心の内容だが、文体(地の文)が面白い。書かれた時代と読んでる時代間のギャップを差し引いたとしても、引き込まれて夢中で読んでしまう面白さがあった。特に浅羽が首から虫を引きずり出すシーンなんて緊張感と没入感がすごすぎて何度も首元に手をやってしまった。

 

セカイ系に関する自分の理解は「世界か、少女か」ぐらいのものだが、それでもこの作品が金字塔と言われる理由が分かった気がした。日常と非日常の移り変わり、少女を取り巻く組織、少年の葛藤、無力感、結末。何をとっても王道という感じだ。

 

逃避行の決着のシーンも、榎本の立ち位置なんてのはかなりよかった。自分が成しえなかったことを行う浅羽を追い、冷酷に徹するわけではないが、しかし任務は遂行する。やっぱ榎本は裏主人公感すごいわ。エヴァにおけるシンジと加地さんみたいな。