『犬はどこだ』感想

米澤穂信『犬はどこだ』読みました。

 

まず設定がいい。銀行員を辞めざるをえず、故郷に戻って調査事務所を開業。しかも専門は犬捜し。最初の数ページでどゆこと?となり、作品世界にどんどん引き込まれる。

 

読み進めていき、推理の情報が揃い始める中盤で雲行きが怪しくなってくる。米澤穂信が得意とする「日常の謎」は、発端が些細なものでも展開を追うごとに思いもよらない、しかし明確に論理的整合性がある事実にたどり着く、というものだ。今回は日常の枠は少し越えているものの、段々と話が盛り上がっていくこの米澤節(僕が勝手に思っているだけ)は健在だ。

 

そして終盤の謎が明らかになる過程のスピード感と爽快さ。これがあるから止められない。そして最後は「そっちかー!」となること請け合いである。

 

ついでに英文サブタイトル。「The citadel of the weak」直訳すれば弱さの最後の砦、という感じだろうか。読了後はなるほどな……(腕組み)となる。果たして本当に"weak"なのか?

 

良い読書の時間でした。続編、楽しみです。