軽快ブログ

「夏が来るね」そう言って君は

『屍人荘の殺人』面白すぎる

〇昨日同期と新今宮までホルモンを食いに行って。梅田で待ち時間があったので第3ビルの古本屋を見てたら発見したので買いました。

有名らしい喫茶店マヅラで少し読んだ。値段はリーズナブルだけど、人が多いし読書にはあんまり向いてないね。で今最後まで読みました。

 

〇すげー面白い。書かれている描写や人物の行動すべてが謎解きの過程で回収されていく緻密さ、トリックを解明するうえで本当に必要なことしか書いてないといういかにもミステリ、って感じがあるのに、剣崎比留子というホームズの魅力、一見謎に興味を抱く変な女という印象から切実なバックボーンを知るにつれて生まれる、俺が比留子を”守護”るという想いが、主人公ワトソンの葉村を通じて伝わってくる。やっぱバディものが好きやねんな……

 

〇で、その物語が”想像だにしなかった事態”によって彩られている。ミステリで通常の物理現象を越えたもの、というか現実の我々の世界観に即さないものを登場させるって違和感なくす技術とか納得できる設定が必要だと思うんだけど、それも完璧。こういう空想と現実をうまく接着させる能力、憧れしかない。

 

〇終盤も良かった。このまま立て板に水の推理で終わるかと思いきや……のひと展開。ホームズや犯人だけに焦点を当てるんじゃなくて、ワトソンにもしっかり妥当性のある背景や理由があって人間らしい振る舞いをしてるのが印象的。主要な登場人物がみんな輝く場所があった。

でもそれだけに、明智が”繋ぎ”でしかなかったように思われる。個人的には、マジで個人的な好みなので誰にもこの意見が影響してほしくはないんだけど、最後は「あげない」だけじゃなくて、「ごめんね、でも私がもらうよ」みたいな、気遣い的なセリフがあってもよかったなぁ、とは思う。次作とかで回収あるのかなー。

 

〇いやほんと、めちゃ面白かったです。2017年とかなんでずいぶん今さらだけど。その分すぐ続編が読めるのは役得かな。