軽快ブログ

「夏が来るね」そう言って君は

人と人との縁が切れる瞬間って目撃したことある?

「言ってて思うけど、案外ある気もする」

「まあ弊家族と祖父なんだけど」

 

「数年前から関係は微妙ではあったんだよね」

「足を悪くしている祖母が食事の後片付けをしていて、弊家族は居間で談笑していたんだ。

「そしたら、祖父が自分の部屋から顔を出すなり母に対して『老人1人に家事をさせるとは何事か』と強い口調で叱り

「さらに一言二言愚痴って部屋に戻っていった。

「で、父は祖父の身勝手さに我慢の限界を迎え、没交渉を宣言。という感じ」

 

「タイミングが悪かったのは確実にあると思う。祖父は何となく虫の居所が悪そうだったし、母はかなり気の利く人なので、いつも手伝ってはいたんだ。

「だからまあ、母の落ち度がもしあるとすれば、上手くやれなかったことだろう。悪い点は何一つない、と俺は思う」

 

「俺?いやもう呆気にとられるしかなかったよね。祖父は普段怒鳴るような人じゃないから驚きが強かったし、母にだけ言うなんてそんな昭和的なことほんとに言う人いるんだ、みたいな呆れもあった。

「でも時間が進むにつれ、何かが”終わった”んだな、とは明確に感じたね。閾値超えちゃったね~、的な」

 

「問題は祖父なんだよな~。弊家族と、数年前に叔母家族とも縁が切れたから、身内で相手してくれるのが本当に祖母だけになっちゃう。祖母が先に死んだらこれはもう面倒よ。

「言うても事務手続き中心だから大丈夫とは思うけど。今後あの性格が改善される見込みは薄いから、関係修復ももう難しいでしょう。

「だから多分、祖父はあのまま孤独に死んでいくことになるんだろうな。そう思うと不憫だけど、不憫で終わらせるのも後味悪いし、1つのケースとして考察を重ねて、教訓を得ていこうじゃないか」

 

「まずシンプルに、他人に対してなぜそんなに感情を向けるかね?という疑問。……いや誰かに感情を向けるのは至極当たり前か。なら、なぜ感情を表に出しちゃうの?の方が正しいか。

「街中でめっちゃ怒ってる人いるじゃん。店員さんとか見知らぬ他人に。あれ見るとまず最初に凄いな、という気持ちになる。注文が来るのが遅いとか、肩がぶつかったとかでどうしてそう必死になれるんだろうか。

「でもそういう人たちも見境なく感情を析出させてるわけじゃなくて、ちゃんとTPOや人を見てやってると思うんだよね。大事な取引先との打ち合わせ中とか、相手が明らかに自分より強そうな時は抑えてる、抑えられてるわけじゃん」

 

「となると、周囲から『許されてる』雰囲気を感じ取ってやってると思うんだよね。今回で言うと、実家においては祖父がピラミッドの頂点であり、誰の意見も容れないボスだった。唯一意見できるのは祖母だったけど、性格上何というか、耐えしのぐ人なのでしてこなかったのだろう。

「だとすれば、まあしゃーない所はある。定年退職して10年、社会から距離をとって誰からも𠮟られないまま生きていくとああなっちゃうんだろう。来年から全力社会人といえどいつかは我が身、震えるね」

 

「対策としては、社会に所属し続けるのが一番かなぁ。結局他人と会うのが正気を保つ一番の手段みたいなところは現時点でも感じるしね。

 

……オチがないので明らかに明らかだろっていう写真を貼ります。