『犬はどこだ』感想追記

ビブリオバトル、興味あるな~

 

本の話したいし、してる人の話聞いてみたい。好きなものは上手く話せるようになりたいしな。

以前感想は書いたけど、バトルに使えるような他人におすすめできるような文章ではないので今回改めて書いてみる。

shaker0831.hatenablog.com

 

『犬はどこだ』は2005年に刊行された米澤穂信のミステリ。

それまで『氷菓』『愚者のエンドロール』『さよなら妖精』など、主に学園を舞台として日常の謎を扱う作品を執筆していた作者が、はじめて本格ミステリ、大人が主体として登場する作品として刊行した1冊目。

かといって作風がガラッと変わるわけではなく、米澤穂信らしさはそこかしこに散りばめられている。例えば、限られた情報から様々な可能性を探る手つき。今作での一例として、序盤に登場する東京で失踪した女性が投函したとみられる、メッセージ無しの東京タワーの絵葉書が挙げられる。その消印から宛名から筆跡から、情報を精査し状況を整理し推理に繋げていく。ミステリの基本ではあるけれど、米澤穂信はこの手順が格別丁寧で論理的なように感じる。『遠回りする雛』収録の『心当たりのあるものは』はこの手つきの集大成のような作品なので、ぜひ。

そして僕がなにより好きなのは、余韻である。探偵が謎を解決してめでたしめでたし、とお話が終わるのではなく、探偵にはこの先も人生が続いていく、その中で今回の事件はどう影響を及ぼしたか、みたいなことがしっかり描かれている。誠実なのだ。読者にとっては娯楽に過ぎなくても、登場人物にとっては人生上の重大事であり、その結果は良くも悪くも当人に降りかかる、というリアルさ。安易なハッピーエンドで終わらせない余韻を、味わってもらいたい。こちらも、『遠回りする雛』収録『正体見たり』でいわゆる青春ミステリとは違った読後感を味あわせてくれる。

 

以下、書こうとしたけど話題を膨らませる自信がなくて割愛したもの↓

英字サブタイの話

2本のストーリーの合流

(どっかで言ってたけど)あえての先の時代設定、これは2005年

米澤穂信の良さとして、過去の名作を読んでみたくなる(ある種のキモさもあり