【台湾環島day2】これなるは勇気の物語【台北~埔里】

2024/2/29

・起きる。ややのしんどさ。人の多さと街のにぎやかさにやられた。早く郊外へ逃げたい。

レンタルバイク屋へ。店員と話すうちに幾分か気持ちが盛り返してくる。高揚感と、日本と同じバイク屋の香りで体調が整ってきたのか。

 

・事前に決めていたアクシズZは整備してなかったらしく、代わりにKIMCOが提案された。本来700NT/dayだけどアクシズと同じ600にしてくれると。

GP125。125のスクーターなんかどれも同じでしょ、と思い快諾。スマホホルダーをつけてもらい、USB電源は+100と言われたので無し。モバイルバッテリー2つあるしまあ……の構え(実際余裕だった。でも音楽用とナビ用でスマホ2つ持って行っていたので、1つならワンチャン……?)

 

・店員から説明を受ける。右側通行、二段階左折、オービスなどなど。

あとヘルメットは持ってきて正解。貸出はカスみたいなのしかない。

 

・支払う段階で現金が足りないことに気づき銀行へ走るなどした後、出発。先払いで、結局1日早く返却したんだけど返金はなかったのでご利用は計画的に。キャッシュオンリーです。

右側通行に違和感を覚えながら取りあえず1kmほど走る。ミラーマウントのせいかスマホに伝わる震動がすごく、手振れ補正に危機感を覚える。それ以外は至って好調で、日本の原付に毛が生えた程度かと思っていたら加速が非常に素早く、おまけに軽いので、0-60ならSVよりも早いんじゃないだろうか。知らんバイクの乗り始めはいつも楽しい。

・そしてやはりバイクはいい。ウバで鍛えたすり抜け力を活かし走る台北の町中なんてのは、もはやアトラクションみたいなもの。専用の通行レーンも二輪四輪お互いにとってメリットしかない。大阪の街中よりよっぽど走りやすいと思われる。

 

・ふんふん走ってたら、野犬に追いかけられた。怖すぎる。誰だよ東京と同じくらいの発展度合いって言った奴。ちょうど市街地を抜けて海へ続く山道に差し掛かろうか、というタイミングで道を間違え、私有地的なところに入ってしまった。Uターンして戻ろうと思ったら、後ろから超吠えながら走ってくる野犬。しかも3匹。本当に生きた心地がしなかった。幸いこちらにはエンジンがあったから事なきを得たけど、自転車だったらどうするんだろう。

私有地なら番犬じゃないの、というのも確かにあるが、実際このあとも通算3回はマジの野犬に吠えられ、追い回されている。嫌な海外あるあるに捕まってしまった。

 

・命からがら海岸線にたどり着き、南下する。この100kmは失敗だった。

最初の方こそ海が見える気持ちの良い道だったが、途中から高速の高架下を走るようになり、海は見えず道は単純、そのくせ信号は多い最悪の道だった。



・さらにさらに不快なことに、台湾にはオービスが多すぎる!!!!!

これね

引用:http://higashi2005.dreamlog.jp/archives/52193589.html

 

・これが冗談抜きで無限にある。体感値として2kmに1つはある。しかも結構シビアで、±11kmから光るらしく速度管理にかなり気を遣う。地元民の走りを見るに結構フェイクもありそうで、それもムカつく。主要道路だけでなくかなり隅々まで張り巡らされていて、山あいの対向車線もないような道路で30制限で撮ってるのを見たときはもはや笑っちゃった。

 

村上春樹はランニング中空白を獲得してる、って言ってたけど、バイクも実際なにか考えてるわけではない、気がする。少なくとも自分の場合は音楽をガンガンにかけているので、綺麗だなぁ、ここ右折ね、うおあぶねっ、ぐらいの浅いことしか考えられない。

 

・そして風景をじっくり見れるわけでもない。大前提よそ見してたら危ないし、スピードがあるので背景でしかなくなってしまう。ランニングと違って自分を痛めつけているわけでもないから、ぼーっと走っていると景色も考え事もすべて後ろに流れていってしまう。そう思うと、ランニングはなんか、周囲を大事にできているような気がして羨ましくなる。

 

・そんなこんなで精神的にも疲れたので、新竹まで走ってコンビニ休憩。よくわからんチキンのホットスナックを食べる。

 

・コンビニで見かけたバイク。

ドカとトラ。このあとも走ってて思うのは、結構二極化してるなあ、ということ。基本スクーターで、たまに大型欧州車。レブルやニンジャやYZFなんかの日本のファーストバイク系はほとんど見かけなかった。たまにYZFのR15がいるから、そもそも企業戦略から違うのかもしれんな。

 

・そんで台湾ライダー、めっちゃ速い。新竹から海沿いを離れて山道に入ったんだけど、これがもう素晴らしいワインディングで、身近にこんな道あったら上手なるわな、という納得がある。箕面の滝までの道がずっと続くと思ってくれていい。

あらぎ島みたい

箕面をコソコソ走るぐらいなら金貯めて台湾来た方が良いと思うよ。オービスだけはマジでダルいけど。

 

斜面にヤシの木っぽいのがずらっと生えてて面白い


・コンビニで休憩を入れつつ走って、埔里(プーリー)に到着。

フロントの人がめちゃ親切で、周辺の飯屋から明日の行くべきスポットまで色々教えてくれた。ホーネット900とまた古いバイクに乗ってるらしい。

共用スペースも居心地いい


・ちょっと行ったところにあるセブンイレブン周辺の店はどこも美味しいよ、とのことだったので夜市を無視して見て回る。疲れてたしチェーンかコンビニで分かり切ったもの食いたい気持ちはあったけど、ぐっと堪えて地元のお店へ。

異国で牡蠣オムレツを食うという”勇気”。牡蠣がたくさん入っていて、ちょっと甘いソースがかかっている。正露丸なんて持ってきてないから当たったら完全に詰むけど、こういうのに挑戦してこその旅だよな、と奮起。牡蠣はそんなに得意じゃないんだけど、勇気パワーもあってとても美味しく食べられた。65NT

・結構大きめのオムレツだったけど、まだ腹に余力があったのでもう一軒行ってみる。

你我他晩点。例によって店の前でウロウロしていると、日本語で話しかけてくれた店員さんがいた。うちの臭豆腐は臭くないのよ~、とのことだったので臭豆腐と焼きそばみたいなのを注文。実際あの発酵臭は全くなく、そのかわり山のようにニンニクが盛られていた。臭ってそういう……

 

・言っても揚げ豆腐、3つはかなり苦しい。焼きそばみたいなやつは満腹のせいで100では味わえなかったけど、それでも美味しかった。

 

・そして結局、お腹はやや壊しました。牡蠣だともっとえげつないだろうし、多分多量のニンニクでしょう。蛮勇じゃなくてよかった……

覚悟はした。

 

・フロントのおじさんに南部は現金大事だよ、と言われたので残金を確認する。1500NT。ほぼ7000円、やや心許ない。レンタルバイクがオンリーキャッシュなの痛かったな、まあキャッシング?っていうのがあるから余裕っしょ、と思い調べると、なんと手持ちのクレジットは全滅。今申し込みしても2週間かかるんじゃ意味ないんだよな。心拍数が上がり始める。これひょっとするとひょっとするか?一応緊急用の日本円10000はあるけど1週間は保たないぞこれ。あ、でも海外でもセブンのATMあるから引き出しはできんじゃん。なーんだ。

 

・海外行くからボロ財布にして、要らなそうなカード全部置いてきたんだった。クレジットは4枚もあるのにキャッシュ0。万事休すか。国際送金かアメリカの銀行の口座開設するしかないってこれマジ?

・と思ったら。作って良かったOlive。キャッシュ・デビット・クレジット一体型のカードのおかげで危機を回避しました。あせったー。ちょうど1ヶ月程前に友人といっしょに申し込んだやつがここで効いてくるとは。ありがとう友人。君には臭豆腐をお土産に……

 

・ちなみにこのMVP友人、ちょうどマルタに語学留学中で、俺が台湾で牡蠣食ったのに触発されてマルタの牡蠣を食ったそうです。そしたら上から下から大洪水なんだとか。ムチャシヤガッテ

 

・あ、卒業が確定しました。深夜2時まで大学のサーバーと戦い続け、真っ赤な目で確認しました。絶対許さねぇ……

230km



 

【台湾環島day1】安易なマクドへNO【関空~台北】

2024/2/28

・台湾初日。気合の4時半起床で関空へ。出発1時間前に到着したらピーチは第2ターミナルという罠にかかり、搭乗締切時間をぶっちぎる。そもそも飛行機って出発2時間前には着いとくのが基本らしいですね。自動チェックイン機で「搭乗できません」の文字列が出たときには頭が真っ白になったけど、なんとか定刻1分前に滑り込んだ。案外こういうのって日本の会社が優しくて海外系は容赦ないイメージがある。今回はその優しさにお世話になりました……

吉兆の予感……(ブロッケン現象っていう名前らしい)



・ギリギリのチェックインなのでここしか残ってないです、と言われたんだけど、最前列って人気ないのだろうか。

足自由に伸ばせるからいいと思うんだけど。CAさんと対面で座ることになるから恥ずかしいぐらい。事故の時の生存率が低かったりするのかな。



・到着。SIMと保険の開始日を1日間違うポカをやらかし、急遽SIMを買う。保険は海外着いたらもう入れないらしいので、初日から無保険スタート。幸いバイクレンタルは2日目からなのでギリ耐えだけど、全体的に幸先が悪い。とりあえずMRTで台北へ。


・宿に荷物を預け、先人のブログで見かけた水餃子の店へ。

牛肉麺はまあアジアの麺だなー、という感じ。水餃子はめちゃウマだったけど、タレがセルフサービスで5種類くらいあって結局どれが正解なのかはわからなかった。

台北駅周辺を歩く。日本人がいないなんばみたいな印象。多様な店があり、観光客もたくさんで、路地はちょっと汚い。結局人口が集まって発展する場は似通うのか?ただ、なんばと明確に違うのは臭さ。東南アジア行った時も思ったけど、明確に下水が臭い。グレーチングの上を歩くと下からプンと臭ってくる。改めて日本の清潔さというか、見えないようにしてくれてるんだな、というのを実感する。


・そして食べ物系の屋台が多いんだけど、明確に俺が苦手な調味料を扱ってる屋台がある。嗅覚に自信はないけど、たぶん八角。これは中華圏を旅行するのに致命的で、この旅行の後半は餃子しか食えなくなっていく。


・見てる感じ、聞いてたよりも交通マナーは良い。実際後日走ってみてもそれは思う。ベトナムだと信号は目安だし、スピードは出せるだけ出すのが流儀、道路は走りたいところを走るもの、みたいな感じだったけど、台湾は全然マシ。信号は守るしヘルメットもしっかりつける。速度も出す人はめっちゃ出すぐらい。
実際台湾はGDPでいえば車社会に移行している国だから、それにあわせて交通法規遵守レベルも上がっているのだろう。そしてバイク専用の走行レーンがあるし、街中でも合法の駐輪スペースが∞だし、バイクの基本的人権が手厚く保障されている。二段階左折だけちょっと面倒だけど。

・英語問題。TOEIC750点なりの読み書きはできるけど、いざ話すとなると状況ごとに何喋ったらいいか全くわからんという意味で英会話の必要性を感じる。店に入って店員に中国語で捲し立てられ、なんとレスポンスしたらいいかわからず愛想笑いで立ってると向こうが察して英語や日本語で話しかけてくれる、というのが多発してやや辛い。言語レベルじゃなくてシンプルにコミュニケーションレベルが低いだけの可能性もある。


・北門西門周辺を歩き、カフェを探すもどこも空いてなく、台北地下街を練り歩く。なんか疲れる。街歩きが好きなふりしてたけど実はそんななのかもな、と少し落ち込む。結局なんのために旅行してるのか自覚しておく必要があって、今回の目的は景色、海外ツーリングの慣らし、一人海外という自己の拡張であって、本筋と離れた部分でそこまで真剣にならなくてもいいのだ、と言い聞かせる。音楽を聴いてテンションを取り戻す。SEEDDESTINYのミーアが歌うEMOTIONが最近のヘビロテ。作中の謎ダンスを小さく真似る。


・宿に戻る。シャワーを浴び、宿の共用スペースで村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』を読む。


妙に捗る。旅先でテンション上がってるからなのか、せっかく旅行に来たのに、という一般的概念に逆張りする喜びもあるのか。もしくは朝からドタバタしっぱなしで、台湾に着いても目新しいものに触れ続けて、知らず知らず張ってた緊張からの解放もあるかもしれない。

 

・そしてめっちゃ面白かった。ラオスに一体〜もそうだけど、村上春樹のエッセイはめちゃくちゃ読みやすく、ページを繰る手が止まりにくい。描写が丁寧でしっかり全部、細部まで書いてくれるから、当人の感情や展開が追いやすい。


・冒頭に出てきたランナーのマントラで「Pain is inevitable. Suffering is optional.」というのがある。昔高校の部活の友人が言っていた、暑い寒いって感情やから、というのに通じる気がする。当時は何言ってんのコイツとしか思えなかったけど。


・ひとつの風景の中に他人と違った様相を感じ取り、他人と違うことを感じ、他人と違う言葉を選ぶことができる、だからこそ固有の物語を書き続けることができる、という文章、これこれこれ~~~!!!となった。文章で生計を立てたい、という夢を捨てきれない自分に、こうすればなれるんだよ、と示してくれる光のような言葉。でも同時に達人の呼吸というか、短くまとまったシンプルな言葉だからこそ彼我の距離を思い知らされるというか。道遠からんだわ。

 

・読み終わって、晩飯を食べに出かける。

北北車魯肉飯

あんまりお腹空いてなかったので魯肉飯だけ。美味しいけど、やはり八角の味が気になる。安易なマクドを選ばないあたり、本気度が伝わってきますね。

・今回から新しく折りたたみキーボードを買って、旅先でメモを残すようにしている。スマホに直接打ち込むよりも速いし、いつもより気持ちたくさん言葉が出てくる気がする。実際帰ってきてからだと色々忘れるから、リアルタイムで残せるのはかなりいいと思います。

 

・あとこれは嫌いな甘さでした。

 

台湾環島ツーリング準備編【2/28~3/8】

卒業旅行も兼ねて。同期とも旅行に行くんだけど、こっちは個人的な挑戦。

初の海外一人旅、しかもバイクなんで不安だらけだけど、俺の人生設計上乗り越えるべき壁でもあり。いずれはモンゴル平原、ラダック、NZ、果てはアフリカ縦断を見据えた第一歩として。行きます。

 

バイク何にしよっかな

まあレンタルでしょう。韓国ならギリフェリーで持っていけるみたいだけど。

一周1000kmくらいで、1週間ほどかけるつもりなので125ccクラスで十分だろう。MT車も考えたけど、スクーターと比べて倍近く(おそらく一週間で5万弱?)するのと、西側は特に街乗りが多くなりそうであり、あの交通量に太刀打ちするためにはATのが良さげである。ウバで鍛えたすり抜け力(ちから)を存分に味わってもらおうか……

 

MT車台北なら↓がアリかも。調べる以上のことはしてないから全然エアプやけど。

【台北春天假期汽機車出租】台北機車出租、台北租車、台北火車站租車、重機出租、甲租乙還、環島租車

・輪胎城重型機車 松山店←ここは借りてる日本人の先人がいた

 

手続き系

  • バイク

台北 世崧機車行&機車出租で借ります。台北で125ccスクーター借りてる先人はだいたいここっぽい(n=3)

高年式で安いやつの中からヤマハの勁豪とやらを選ぶ。

スマホホルダーはつけてもらったし、USB給電もできるモデルっぽい。
日本名アクシズZってなんだか命名者の趣味が反映されていそうな感じだな。三陽(SYM)っていう台湾のメーカーのも安かったけど、日本の安全神話に依ってみる。600NT/day

 

  • 航空券

行き:ピーチ直行便。2カ月前にとって¥22,930。

帰り:香港航空で香港トランジット。¥24,520。座席指定で+¥3,190

3月の平日にしては高い気もする。円安許せねぇ

 

台湾に外国人観光客が加入できる任意保険、無いみたいです。調べた限り。自賠責は強制加入っぽいけど。

Taiwan Touring - 日本重車自駕旅遊

↑現地会社のHPに記載されている。

普通の海外旅行保険だと搭乗者の治療費、死亡、後遺障害はカバーしてくれる。ただ、任意がないので対人対物をやらかすと……

なんでまあ、自己責任です。覚悟決めて、安全運転で行きましょう。¥2,520

 

  • SIM

KKday使います。10日間3G/dayで1500円。

 

  • 免許の翻訳

JAF行ってください。オンラインでできます。¥4,400

 

あとは……

各人で好きなように。じゃ行ってきます。

ブックオフのシールを剥がすことについて語るときに僕の語ること

2024/2/25

 

・卒業旅行に行ってきました。冬のグランピング。

楽しかった。今後も年1,2くらいで開催していけたらいいな。

 

・旅行疲れもあって、昼に起きた。喋りっぱなしの2日間だったから、反動で1人の時間が欲しくなる。昨日は家帰って風呂入ったあとは飯も食わずにさっさと寝てしまった。1泊の旅行だからいいけど、3日を超える多人数の旅行なら単独行動の時間が欲しくなるな。幸い、そういう考えを普通に受け入れてくれそうな面々ではあるので、安心ではある。

 

・本に貼られた古本屋のシールをはがすときの喜びってあるな。中古で買って、そんなかな……と思った本は手放すんだけど、ブックオフとかのシールの有無に関わらず売却値が変わらないことに気づいて、それ以来買ってすぐにシールをはがすことがなくなった。綺麗に取れないときもあるし。

こういうやつ


・だからこそ、いいな、と思って本棚に置こうとしたときに、シールをはがす。売品から明確に自分のものに変えて所有感を明確にしたいのかも。あとは、罪悪感もあるな。良い本なのに中古で買ったから直接作者にお金がいくことがない、その申し訳なさを目にしたくなくてシールをはがしている節もある。

 

・こういう日常のささいな瞬間の感情ってちょうど川柳か短歌でウケそうな感じがある。この「気づき」を得たのであとは作品として出力したいんだけど、全然思いつかない。おーいお茶のパッケージが好きで毎回買ってるのに。

 

 

・『屍者の帝国』読みました。

積読消化シリーズ

 

・難しかったなー。虐殺器官とハーモニーを初めて読んだのが中3くらいのときで、最近読み返してようやくああ、こういう話だったのか、と納得できたけど、その感じをまた味わってる。世界五分前仮説みたいな話だった気がする。

 

・でもこれがベストSF2012と最高に面白い本大賞で1位取ってるんだから、自分の理解力が選考委員やSFファンにはまだまだ及ばないことを突き付けられているようで落ち込む。自分に言い訳するとしたら、funnyというよりinterestingな面白さを重視している感じをSF小説のファン層からは感じる。ハーモニーも、健康であることこそが社会道徳、みたいな価値観で、よくこんなものを考えつくなぁ、と感心しきりだった。

 

・主人公がワトソン博士で、作中に直接は出てこないけどホームズの存在もあった。ということはシャーロキアンであるところの長谷川さんはやはり一読はしているのだろう。ぜひ彼女の感想を聞いてみたい。

虎と天狗の分かれ目

2024/2/20

 

・『新釈走れメロス他四篇』を読んだ。

 

・画像が小さい。なんでだろう。

 

・長らく積んでいた本で、多分高校生くらいに買ったんだと思う。夜は短し~で森見登美彦いいな、と思い、自分の大学選びに多大なる影響をもたらした。世間が思う京都大学生のイメージはこの人が強く浸透させたんじゃないだろうか。

 

・結局京大を諦めたことから京都大学、ひいては京都という土地自体にかなりコンプレックスを抱くようになり、森見登美彦からも遠ざかるようになった。高校時代に読もうと思って買った本が他に何冊かある。なんとも身勝手で個人的な理由だけど、それを押しても読もうと思ったのは、引っ越しが近づいてきて持っていく本の選別をはじめたから、というのがひとつ。

 

・引っ越しのタイミングで持っていかない積読本って多分一生読まないと思うし、どんどん供養していきたい。そしてもうひとつの理由として、最近読んだ米澤穂信のインタビュー↓で

www.webdoku.jp

最近注目している作家と作品に挙げられていて。まあ結構昔のインタビューだから最近って言ってもなんだけど、ちょうどいいな、と思いました。

 

・面白かった。『走れメロス』は、京都の腐れ大学生が軽快なテンポで話を進めていくといういつものやつで安心して面白いし、これこれ!ってなる。なんなら作者本人もめちゃくちゃ書きやすいんじゃないかな。

 

・好きなのは『山月記』。ド嬢6巻の遠藤くんの感想がめちゃくちゃ好きで、それを読んで以来自分の中で折に触れて思い出す作品ではあるんだけど、これもだいぶアレンジが加わっている。

 

・万人を軽蔑する傲慢によって天狗となった斎藤が、夏目との出会いをきっかけに再び文章を書けるようになった。原典が徐々に人間ではなくなり詩も友情も解さない虎になってしまうことを思えば、幸せな結末のように思える。

 

・では、虎と天狗は何が違ったのだろうか。思うに、業の深さなのではないか。李徴は残してきた妻子の身の保障よりも先に自らの詩業を残すよう袁さんに訴え、そのような男だから獣へと身を堕としたと自嘲する。斎藤は、自分を苛む気持ちのみで天狗へと化した。2人ともやってることはだいたい同じだけど、李徴は自己本位が強すぎたゆえに虎となり、桃色遊戯という俗事にかまけなかった斎藤は天狗で済んだ。そんなもんなのか?もっと納得いく理由の欲しさはややある。

 

・解説が漱石夢十夜だったね。大学の般教で題材になっていて、はじめて文章を美し、と感じた作品だ。見開き1ページに収まる文章でありながら分かりやすく、情景をまざまざと想像できるし、なによりロマンチックで。夏目漱石ってマジで凄いんだ、と思った記憶。

 

 

・謎かけ考えました。「武器を取れない男」とかけまして、「限界独身中年男性」と解きます。その心は……

 

どちらも意気地(育児)がないでしょう

時空を越えた緊張感

2024/2/15

 

・早朝に起きて、長浜にある海洋堂フィギュアミュージアムに行くつもりだった。亀岡まで出てから9号線で京都を突っ切り、鯖街道をかすめて琵琶湖大橋渡って湖畔を北上し、路面凍結チキンレースを目論む。

 

・帰りは多賀SAのSTRICT-Gでガンダムアパレルを冷やかし、インスタで見た京都のデカ盛り醤油ラーメン食って、なんなら銭湯でも引っかけて帰ろうと思ってたのに。起きたら11時ですべてを諦めた。7時と8時とアラーム何個もかけたのに4度寝くらいしてしまった。つらい。

 

・昨日凍結してない道探して結構プラン練ったんだけどな。晩飯食ってすぐ寝る夜寝した結果どうにも寝つけず朝4時までリール見てたらこのザマだ。日々に緊張感がなく、(どうせ次の日もいけるし)なんて思うのが癖になり、メリハリがつかない。歳食ってからこの日のことを恨むのだろう。

 

・なので未来の自分に失望されないよう、日記を残す。過日の君は貴重な一日を完全に無駄にしたわけではないよ、と。まあでも自分のことだし、意外と寛容かもしれない。今の俺もそんなもんだよ、的な。だとしたら今の俺が怒るわ。金あってどうせ独身の自由な立場なら何でもできるだろ。何しかはやれよ!!!!

 

 

・時代を越えた緊張感を保つべく、さらに今日は本を読みました。

改めて読んで思うのは、氷菓に比べて作中時間が飛び飛びだなぁ、ということ。春期が高1の春で、夏期は高2夏、秋期は高2の秋に始まり完結は高3夏。氷菓はふたりの距離でようやく高2だから、かなり差がある。アニメは夏期までやるということだけど、作中の時間の扱いが少し難しそうだな。「そして1年後……」みたいなモノローグが入るんだろうか。

 

・そしてやはり面白い。自分は結構再読グセがあって、そのたびに新たな発見があるから一度じゃ理解しきれてないんじゃないかと自分の解釈能力にたまに落ち込むけど、今回はその気落ちなんかどうでもいいほど良い体験だった。考えることができるだけで共感できない2人が真の互恵関係を築く。ベストではないけどベター、という明け透けな宣言には笑っちゃったけど、お似合いだなぁ、としみじみ思う。

 

・最終巻どうなるんだろうな。ざっと見た感じ短編と冬期限定で終わりっぽいけど。冬期限定でそれぞれを上回る白馬の王子様/黒いランボルギーニ(?)のお姫様が出るとはちょっと考えにくい。瓜野くんと仲丸さんでその展開はやったし、最終巻でそれは突飛な感じがする。しかも小市民シリーズに通底しているのは「光の米澤穂信」像だと思うんだよな。さよなら妖精やIの悲劇系ではなく。

 

・じゃあラブラブちゅっちゅエンド確定かというと、いやまさかそんなことは……と思ってしまう。まだ米澤穂信作品の「終わり」を見たことが無いから、畳み方が想像つかない。単純にすっと終わるわけがないので、非常に楽しみ。

 

 

・母から3Dフードプリンターの話を聞いた。公衆栄養学、という分野らしい。歯がなくなって固形物が食べられない老人が唐揚げを食べたい、となったときに柔らかい素材を使って作ることで要求を満たす、みたいな。

 

・10年後にはそれが一家に一台レベルになり、人々はスーパーへ食材のもと、いわばインクとQRコードのレシピを買いに行くようになるのだという。へー。料理の美味しさはあんまり想像できないけど、毎食同じようなものを食べる筋トレする人とか、食にあまり興味ないような人の間では流行りそうだな。直方体の固形物からチャーハンの味がしたらちょっと面白そうではある。

2週間でガンダムSEED、SDESTINY、SFREEDOM全部見た

ので、見ながらメモ程度に残していた感想をまとめてみる。

 

note.com

感想の書き方、↑みたいな箇条書きが書きやすいし後で見返しやすくて、かなり参考にしている。

 

SEED編

  • ガンダム起動前までに結構人が死んでる。物語において一般モブ軍人の死は捨象されるものだとは思うけど、それでもポンポンいってるあたりかなりハードコアな世界線なのかもしれない

 

  • アークエンジェルガンダム足から出すんだ。その割には後部甲板に着艦したりもするあたり内部構造が相当ややこしそう。戦闘配置!って言われたのに普通に迷子になって激詰めされちゃう

 

  • この前にユニコーン見たんだけど、それに比べるとメカメカしい印象。発進シークエンスの表示とか、いっぱいある武器の種類とか。時代的にもファン層がもっとコアな古オタクだったり、50話弱もあるから細部に凝る余裕があったのかもしれない

 

  • アルテミス、辺境かつ重要でもない拠点なのにそのレベルの守備設備持ってるのなんでなんだろう。長が有能気な感じでもないし。辺境だから試験的に使われてたとか、星の大きさ的にここでしか運用できないとかだろうか

 

  • フレイよかったな。嫌われ役として出てると思うんだけど適度にキラに優しくしてヘイト管理抜群だった。そしてあそこまでドロドロした人間関係は実写的というかリアルっぽく、アニメというか昼ドラを思わせるものがある

 

  • ↑これ後で調べたら脚本家は女性で、監督の奥さんなんだとか。少女漫画的文法が散りばめられていて、だからかSEEDは女性ファンが多いらしい。へー。

    febri.jp

    確かに映画館も女性結構いたし、pixiv見てる感じも女性ファン多いんだなと思える(絵柄的に)

 

  • サイの私服、煉獄さんすぎる。キラのベルトといい、全体的に服のセンスが終わってるのはコズミック・エラ仕様なのかな

 

  • 結局あのチリリリュウイン‼みたいなやつはニュータイプってことでいいのかな。でも危機察知能力と言うより何らかの縁を感じたときに鳴ってるっぽいからまた別物なのかも。そしてやっぱりニコニコ脳なのでつい笑ってしまう

 

  • 争いをなくす、というゴールがフィクションでぐらいは達成されてもいいのにな、と少し思ってしまう。デスティニーでは議長がその未来を示したけどそれを潰して俺たちは戦い続けるENDだったし。泥沼でもがく鶴こそ美しい、というのもわかるけど、美しい湖畔で揺蕩う鶴もまた見事なんじゃないの、という。まあ達成されたらされたでまた、気に入らないねぇとか言いそうだけど俺は

 

SDESTINY編

  • 改めて思うけど、やっぱSEEDでは何も解決されてはいないんだよな。そして軍人が主人公なのは珍しい。乗る理由が丸ごとカットされて戦う理由もあるから話が広げづらそう。やはり続編ならではなのかな

 

  • いっても登場人物だいたい20前で、そういう若い世代が最前線で対立してるのを見ると悲しくなる。カガリなんて18なのにジジイ6,7人と会議してめっちゃ批判されるとか辛すぎるだろ。自分がキャラの年齢を追い越してからというもの、自分の過去と比較することができるようになったからか、キャラへの気持ちの入り方が深くなった気がする

 

  • アスランの、自分の気持ちでいっぱいなんだ、という言葉、なんか心に残った。心に余裕がなくなって他人を気遣える場所がなくなってしまう。そういう時にすぐ平静に戻せるような人間はカッコいいと思うけど、同時にすぐ自分をないがしろにしてしまう危うさがある。……なんか恋愛系のモノローグみたいだな

 

  • ブレイクザワールドの結果テロリストの思うつぼってのはマジでそう。それを肯定してしまったら第二第三の凶行が起こってしまう。けど、テロは絶対ダメだとしても、それによって社会が変わったとしたらそれはテロリズムの肯定に繋がるんじゃないのかな。現実、首相の件を見てるとそう思ってしまう

 

  • カガリ辛すぎるな。DESTINYはカガリの無力さに起因する物事が各所に現れている。そしてそれがアスランザフト加入が遠因だとしたら、何してくれとんねん、という気持ちも起こる。その分シンに悩まされ、セイバーはフルボッコにされるなど報いは受けている気はするけど

 

  • 暁、石油王ガンダムすぎる。もしくはギルガメッシュ。迷彩という概念はあんまりないのかな。まああんだけ白兵戦でバチボコやってるなら基本は要らなくて、特殊任務時のみ後付けする、みたいな感じだろうか。

 

以上です。FREEDOMは多いので別にします。

やっぱり一気見すると1話ごとの記憶が薄くなって大したことが書けない。実のところは大したことが書けないのを一気見のせいにしてるだけかもしれないけど。

でも総じて面白かった。使いまわしのシーンが多かったりして正直やや飽きが来たところもあったけど、特にフレイの感情の移り変わり周辺は、ガンダム作品で見れるとは思ってなかった愛憎劇ですごく新鮮だった。そして親友同士が殴り合う作品はやっぱり最高!